地震と食糧不足と舌の記憶とローファット牛乳
2021/07/04
やはり地震って怖いですね。
こんにちは
北海道は地震に襲われ震源地近くでは多くの被害者が出ています。
また、地震に伴い全道各地で大規模停電になりました。
その余波は、地震発生から一週間後の現在も続いており、スーパーやコンビニに食料品が限られた量しか売っていません。
特に牛乳が不足している。
なんだかんだ色々な食料の入荷は回復傾向なのですが、牛乳だけ全然手に入りません。
普段牛乳は冷蔵庫に何となく入っているから飲んでいるようなものでしたが、いざ手に入らないと飲みたくなるのが人情というもの。
飲みたい気持ちを抑えきれず、数店舗のスーパーやコンビニをめぐると売っていました。
と、言っても普通の牛乳ではなく低脂肪系。
さらにパッケージをよく見ると、そこには「無脂肪乳」の文字が。
牛乳ではなく乳飲料ですね。
普段は普通の牛乳しか飲まないので、低脂肪乳なんて飲むことはありません。
相当薄い味なんだろうなと、でも、牛乳っぽいものは飲みたい。
背に腹はかえられず飲んでみることに。
すると何とも不思議な出来事が
とりあえずコップに入れて何も考えずにゴクゴクと飲む。
低脂肪どころか無脂肪ですから、うっすい味なんだろうなと思ったのですが、意外にもそんなに薄くはありません。
おそらく、1週間も牛乳を飲んでいなかったので標準の味を忘れかけているのでしょう。
そう思いながら、ゴクゴクと飲み進めていくと、思いもよらない思い出と景色がよみがえってきました。
それは、遡ること30年。
私が小学生のころ。
私の実家はばあちゃんとの二世帯住宅だったのですが、ばあちゃんの冷蔵庫にはいつもローファット牛乳、すなわち低脂肪牛乳が入っていたこと。
そして、その牛乳を飲んでおいしくなかったこと、そんな私をみて笑っていたばあちゃん。
普段スーパーなどで低脂肪乳が売られているのを見ても、ばあちゃんのことを思い出すことは一度もありませんでした。
今回、無脂肪乳を飲んだことにより、舌の感覚、味覚で記憶がよみがえったのです。
そんな話は過去にどこかで見たことがある。
そう、それは漫画の「美味しんぼ」第一巻に収録されている「舌の記憶」というお話です。
話の内容は、ぼけてしまったおばあちゃんに若いころの思い出の味を食べさせたら昔の記憶がよみがえりボケが治ったという話。
私は、この話を見たときにそう言うこともあるんだなくらいにしか思わなかったのですが、それはまだまだ子供だったからなのだと思います。
食の記憶が積み重ならないことには、思い出すこともありませんし。
今回、何げなく飲んだ牛乳でばあちゃんの部屋、冷蔵庫、部屋のあかり、ばあちゃんの顔、テレビがついていた、季節は冬だった、部屋の香りはこんなのだった、などなどたくさんの記憶がよみがえりました。
ばあちゃんは昨年亡くなってしまったのですが、震災の折にこのような形でばあちゃんの思い出がよみがえり、震災で疲れていた心にぽっと明かりがつくような温かい気持ちになれました。
今回の無脂肪牛乳は、ばあちゃんからの贈り物だったのかもしれません。