目の前にある書類の先に広がる世界を想像して仕事を進める大切さ。
2016/03/27
私の友人(この先の呼称をkさんとする)は、ある3月に4月1日付の転勤を控えていました。転勤に向けては、社宅にするか一般の賃貸物件を探すかの二択から選ばなければなりませんでした。都会であれば、どちらにせよ全く問題はありませんが、Kさんの転勤先は地方だったのです。地方は都会と違い賃貸物件の供給量がとてつもなく少ない場合があります。そのような場合最悪住むところが見つからない場合があります。こういう事態に備えて社宅は整備されています。Kさんの場合、遠方から訪れたことの無い場所への転勤だったため、社宅に入ることを希望しました。しかし、現地の担当者からは、空かないかもしれない、結果は3月の三週目の金曜日に連絡すると言われました。もし、社宅に入れなかったとしても、3月の三週目の週末に現地へ赴き、賃貸物件を探せば何とか見つかるかもしれません。時は過ぎて、約束の金曜日の夕方になりました。Kさんは電話をずっと待っていました、しかし、いつまでたってもKさんに電話がかかってくることはなく、また、Kさんが電話をしても繋がりませんでした。結局、社宅に入れるかどうかの答えがわからないまま、3月の三週目の週末を迎えてしまったのです。遠方で、しかも社宅に入れるかもしれないのに賃貸を探すわけにもいかず、Kさんは不安と怒りの気持ちが湧きました。そして週明けの月曜日、担当者からようやく連絡が入りました、社宅に入ることができるという連絡です。その後詳しい住所や詳細を連絡すると言ったまま、数日が経ってしまいました。3月の4週目の数日は普通の数日とは違います。数日後に詳細の連絡が来て、Kさんは急いで引越しの手配をしました、しかし時すでに遅く、どこの引越し屋さんもすでに予約でいっぱいでした。結局Kさんは、遠方にもかかわらず、レンタカーでトラックを借り、忙しい中、何とか自分で引越しを済ませたそうです。転勤でただでさえ忙しいのに、自分で車を運転してまでの、引越しは大変だったと思います。
この話を聞いたときに、私は現地の担当者が、書類の向こうにいる人を少しも考えていないのだなと、残念な気持ちになりました。
まず、遠方から見知らぬ土地へ行くということはどれだけの不安とストレスがあるかということです。それを理解していれば、約束の電話を忘れるわけがありませんし、土曜日にも連絡を入れることができたはずです。そして、社宅に入れなければ、賃貸物件を探すタイムリミットはこの週末しかない事も理解していないのです。また、引越し先の詳細を伝えるのが遅くなった件も、3月の数日の重みを理解していないのです。
おそらく現地の担当者は、いつも通り社宅の空室の有無を調べ、空室があったが、空室で絶対入れるのだから連絡は遅くても問題無い、詳細だってこちらにとっては重要な話では無いし急ぐものでは無いと、思ったのでしょう。ただ、目の前の書類と自分のパソコンで仕事が完結しているのです。
常に書類の先にある世界や相手を考えていれば、特に難しいことをしなくても、今回の件はスムーズに、不安やストレスがなく終わったと思います。仕事のテクニックや、スピードなど関係なく、ちょっとした気遣いや想像で仕事はうまくいくと思います。
私も、そのように相手の立場に立った仕事を、していきたいと思います。